■2005年11月15日(火)10:39
中国近代2作品
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清朝末期、西洋および日本といった列強によってむしばまれていく中で、中国がいかに自らを守り抜いていこうとしたか、そしてどのように新しい時代を築いていこうとしたか、具体的な事例が挙げられつつ、述べられている。
さて、中国の近代史というと問題になるのが日中の関係だが、本書ではあまり大きくは取り上げられていない。もちろん、中国に対する日本の干渉や侵略に関しては記述されているが、その背景についてはほとんど述べられていない。日本以外の列強の侵略・進出に関しても同様である。
近い時代であるだけに、述べられることがいくらでもある。この中に取り上げられているそれぞれの事件や出来事に関して、他の時代の歴史とは比べものにならないほど、何冊もの書があり、異なった視点からの意見が存在するはずである。日中戦争に関しては同時代人の証言もまだある。こんな概説書1冊では紙幅の足りないのも仕方がないだろう。巻末には参考文献も多く載せてあるので、中国近代史への入り口として役立てると良いと思う。
清末、光緒帝の御代、西太后が政権を握っていた時代のお話。変法運動と戊戌政変が舞台となっている。李鴻章や康有爲、譚嗣同、袁世凱といった、教科書で名前くらいは聞いたことのある人物が出てくる。あまりなじみのない中国近代史。概説書を読んでもなかなか頭に入らない。歴史を学ぶのに歴史小説をそのまま信じるのは愚かだが、歴史小説を楽しむことで歴史を学ぶよすがとすることはできる(たとえば『三国志』)と、読んでみた。『壬生義士伝』では泣かされたし。
で、読んだ結果だが、あまり面白くなかった。主人公2人の友情関係、乾隆帝と西太后、西太后と光緒帝の親子関係、変法派と守旧派、中国を守ろうとする者と自らの利権を守ろうとする者等、他にもさまざまな人間関係が錯綜するけれど、うまく絡み合っていない。ばらばら。西太后と乾隆帝の主張にも納得しがたい。残念ながら泣けなかった。
でも、「もういや!いやいやいやいやいや、いやっ!」と叫びながら地団駄を踏む西太后には、不覚にもちょっと可愛い・・・とか思ってしまった。すぐ鞭を打たせて宦官を殺すけど。あと、光緒帝とその側室のむつみごとをのぞき見する乾隆帝(光緒帝の高祖父)の霊。何をしてるんだ乾隆帝。 | | |