『甲賀忍法帖』(山田風太郎、懇談社文庫、1998)
先日読んだ『バジリスク』の原作。両者を読み比べてみると、こちらのほうが、弦之助と朧の主人公二人の心理描写が分かりやすい。朧が自分を罠にかけたのではないかと疑う弦之助、また逆に、そう思われているのではないかと恐れる朧の思いは、漫画のほうではいまいち伝わってこなかった。
しかし、ラストシーンのカタルシスは漫画のほうがはるかに上だった。伊賀との戦いの中で封じられた弦之助の目が、最後、朧が自害した直後に見開かれる。このシーンの描き方は『バジリスク』のほうが好きだ。
ちなみに、『バジリスク』はアニメ化される予定なのだが、その主題歌は陰陽座が担当するらしい。タイトルは「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」。これまでも数々の「忍法帖」シリーズを曲として発表してきた陰陽座だが、今回にして初めて原作そのもの名前を冠した曲を作ることができたわけだ。陰陽座ファンとしては嬉しいかぎりである。