日記

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■2005年06月06日(月)11:48  『中国の歴史1 神話から歴史へ』
『中国の歴史1 神話から歴史へ』(宮本一夫、講談社、2005)
 南北朝時代からいったん戻って、中国文明の出現期へ。扱われている史料のほとんどが考古学資料なだけあって内容を理解するのが大変だった(聞いたことない資料やばかりだし。細かい地名がたくさん出てくるし)が、とても面白かった。

中国史上、確認しうる最初の王朝は殷である。少なくとも、私が高校で世界史を習った限りでは、そうだった。殷の前に「夏」という王朝もあったと言われているが、それはまだ伝説的存在にすぎなかった。また、「中国文明」という場合、それは黄河の流域に繁栄した文明を指していた。「黄河文明」という呼び方もあった。

今の教科書がどのように記述しているかは知らないが、本書は、夏王朝の実在の可能性について言及し、また中国文明を黄河の流域に限ってはいない。まだ明確に夏王朝に比定できるわけではないが、殷以前の都市遺跡として「二里頭遺跡」というものがあり、初期王朝文化と考えうるという。また、中国文明は黄河流域にのみ発展したものではなく、旧石器時代の昔から、黄河流域と長江流域、さらにはそれ以外の地域との交流の中で発展してきたもののようだ。以前は「黄河文明」に対して「長江文明」といった言葉があり、私も漠然と両者を別物としてとらえていたが、黄河流域と長江流域のつながりは私の考え以上に強かったようで、「中国文明」の成り立ちを読んでいくのは高校以来の知識を改めさせられることとなった。

『泣き虫弱虫 諸葛孔明』(酒見賢一、文藝春秋、2004)
『墨攻』や『陋巷に在り』で有名な酒見賢一氏の書いた三国志本。中を読んで驚いた。まさかこの人がこんな文体で書くとは。ネットでよく見る自分で自分につっこみを入れる文章。自分にだけでなく、『三国志』あるいは『三国志演義』にもつっこみを入れていく。もちろん孔明や劉備の言動にもつっこみを入れていく。そのせいかどうか、ここに登場する孔明はどこかおかしい。いや、全てがおかしい。頭は切れるようだが、語ること全てが「宇宙」についてである。「最終兵器・孔明」なのである。弱虫ではなさそうだけど。さらに劉備も変だ。もちろん張飛も関羽も変だ。徐庶は・・・、可哀想なのである。一般に英雄クラスの人間は変態で、平均クラスは普通人のようである。史書や英雄譚へのつっこみの反映なのだろう。しかし、変態だらけの三国志だが、侠・儒・呪等についての記述はさすがである。ただ、おそらく、普通の『三国志演義』を読んだことある人じゃないと楽しめないかな、と思う。
コメント
  • おかもと(2005/07/01 01:05)
    いつのまにか掲示板がなくなってるやん
  • 路下(2005/07/01 16:42)
    勧誘系の書き込みしかなくってうざくなったんで。
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